真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛


 ダメなのかな……?


「い、いいの……?」

「ん?」


 いいのって、今お願いしてるのはわたしの方なんじゃ?


「だって、それってつまり……」


 ――と、周くんが言い切る前に予鈴が鳴り響く。


 あ、もうそんな時間か。先生に見つかると没収されるのでスマホを隠す。


「あ……」

「じゃあ周くん、放課後までに考えておいてもらっていいかな?」

「……! う、うん!」


 良い返事。これは良い結果が期待できそうだなぁ。


 気の早いわたしはもう送ってもらえるものと思い込んで、気分を高揚させる。


 そのおかげで普段なら昼食後でうとうとしちゃう午後の授業も、ずっと起きていられることができた。


 内容が入ってきてたかどうかは、別だけど。



「める、あんたさぁ……」


 ホームルームの直前、木葉ちゃんがまたあのジト目で見てきた。


「ん~? どしたの?」

「全部見てたけど……やるね」

「なんの話?」

「めるがかわい~って話!」

「え~? なんかありがと~」


 よくわかんないけど褒められたからうれし~。木葉ちゃんって滅多にお世辞言わないし。


 わたしも木葉ちゃんのこと可愛いって思ったら、逐一報告しちゃお~っと。性格がアレだから素直に受け取ってくれないだろうけど。


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