真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛
*第二章*
……俺の心臓が持たないよ
わ、雨だ~。
机に頬杖をつきながら、降り出した窓の外を眺める。
学校に着いた後に降ってきてラッキーだった。
今日の体育は室内になりそうだねぇ~。
のんきに一悟くんが登校するのを待っていると。
「うわ、周!? 大丈夫かよ!」
というクラスメイトの声に、パチリと瞬きをする。
声の方、教室の入り口を見れば、一悟くんが困ったように笑っていた。
――雨に濡れたビショビショの姿で。
あ、わたし、タオル持ってるよね……!
汗拭き用だけど、まだ使っていない。
わたしはカバンからタオルを引き抜くとすぐに立ち上がって、彼の元へ駆けようとした。
「あはは、完全に途中で降られた」
「風邪ひくぞー? 俺タオルあるけど、貸そうか?」
「ほんと? じゃあ遠慮なく……」
えっ!
一悟くん、わたし以外のタオル使っちゃうの……?
「い、一悟くんっ!」
彼がタオルを受け取る直前、わたしの大きな声が響き渡る。
自分でもそんなに大きく出るとは思わなくてびっくりしちゃう。
一悟くんはそんなわたしを視界に捉えて、ふにゃりと笑った。
「あっ、羽入さん、おはよう」
「お、おはよ~……えっと」
おずおずとわたしからタオルを差し出す。
「わたしの、使ってほしいな~……?」
なんて……いきなり割り込んで、わがままだったかなぁ。
もう後には退けない状態だからこうするしかなかったけど……。