真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛
わたしの手には、ゆる~い子犬のイラストがプリントされたタオルがある。
う、男の子がこういう柄使うのは、少し抵抗があるかもしれない……。
わたしってば、全然配慮がなってないよ……。
「いいの?」
「……え」
「うん、俺も羽入さんのがいい」
だけど一悟くんは笑顔で受け取ってくれて、水の滴り落ちる髪の水分を拭き取った。
わたしを選んでくれたことが嬉しくて、だんだん顔が熱くなってくる。胸の前でぎゅっと手を握った。
そこでひとつ大事なことを思い出して、先にタオルを出していたクラスメイトと目が合う。
彼は空中でタオルを持った手を止めていた。
喜んでる場合じゃなかった、わたし邪魔したのに……!
「ご、ごめんね? 割り込んじゃって」
彼に対してすぐに頭を下げる。
「えっ!? いやっ! 当たり前っす! 彼女を、しかも羽入さんを選ばない男なんていねぇっすよ!」
「そ、そうかなぁ……?」
あ~……気を遣わせちゃった。
「やべー……羽入さんと喋っちゃったよ」
「わたしと喋ったら何かあるの?」
「なんも!? 周、違うからな!?」
そう言って彼はそそくさと元の場所に戻ってしまった。
なんで最後に一悟くんを呼んだんだろう?
不思議に思って一悟くんを見ると――わたしの心臓は大きく脈打った。
雨に濡れた一悟くん……なんか……いい、かも。