真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛



 ――なんて浮かれていた翌日、一悟くんは風邪で休んだ。



「わ、わたしのせいだよねぇ……」


 頭を抱えて机と見つめ合う。


 わたしが早く着替えさせなかったから、体が冷えちゃってたに違いない。


 きっと、くしゃみしたときにはもう手遅れだったんだ。


「気に病むことないでしょ。周の免疫力が弱かっただけ」

「も~木葉ちゃん! 風邪を甘く見てちゃだめなんだよ!」

「じゃあ、めるのせいなんじゃない?」

「う~……」


 木葉ちゃんが面倒そうに見下ろしてきているのを感じる。


 一悟くんと触れ合いたくて、自分の気持ちを優先した結果がこれだ。


 ちょっと、浮かれてふわふわしすぎてたかなぁ……反省。


「お見舞い……しなくちゃ」


 いつまでも落ち込んでちゃいられない。


 わたしにできることを考えないと。




 そう決意して、わたしは昼休みに有明くんのクラスを尋ねることにした。


 なんとなく木葉ちゃんも誘ってみたけど、「あんた最近ちょっと面白がってない?」と嫌な顔をされて断られた。


 わたしはただ、二人も仲良くなったらいいのにな~って思ってるだけなんだけどなぁ。


「有明く……わぁ」


 彼のクラスを覗くと、その異様さはすぐに目に入ってきた。


 有明くんを中心にして、サークル状に女の子達が囲んでいる。


 みんな一様に話しかけていて、簡単に入っていけるような雰囲気じゃない。


< 64 / 167 >

この作品をシェア

pagetop