真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛


 有明くんといえば一人一人を相手しようとして、逆におろおろと何もできなくなっていた。


 一悟くんが有明くんと一緒にいるのって、ちゃんと牽制になってたんだなぁ~。


 ここはわたしも一悟くんの彼女として、一悟くんみたいに有明くんのことを守ってみよう……!


 教室の中に足を踏み出す。


「有明くん、こんにちは~」


 わたしが名前を呼ぶと、彼の視線がこっちを向くので、笑いかけて手を振った。


「一悟くんのことで聞きたいことがあるんだけど、ちょっといいかな?」

「あ、あぁ……」

「みんなも、ちょっと有明くんとお話してきていいかなぁ?」


 女の子達にも微笑んで、了承を取ってみる。


 彼女達は少し戸惑いながら、お互いに顔を見合わせてこくりと頷いてくれた。


 お礼を言って、有明くんに行こうと廊下へ誘導する。


 こっそり、お弁当を持ってくるようにも言って。


「近くで見る羽入める、やばすぎる……」

「有明くんと並ぶと余計に際立つわ~……」

「なんで有明くんじゃなくて周と付き合ってるんだろうね」

「さぁ……。まあ、私達にしたらラッキーじゃん?」

「それもそう」


 教室を出る直前、そんな彼女達の会話が聞こえてきて首をひねった。


「わたしって、何がやばいんだろう……」


 一悟くんの友達にも言われたしなぁ……。


 自分じゃ気付けないところに何かあるのかもしれない。


< 65 / 167 >

この作品をシェア

pagetop