真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛


 悪い理由だったら嫌だなぁ~と思い悩んでいたら、今度は有明くんが首をひねる。


「羽入さんが人気者だから、皆喜んでいるんじゃないのか?」

「えっ? え~……でもわたし、一悟くんみたいに友達多くないよ?」


 人気者って一悟くんみたいな人のことを言うんじゃないのかな。


 それに有明くんも、人気の部類に入るよね。


 わたしは二人みたいに人に囲まれたことなんてないのになぁ。


 有明くんは一瞬考えて、答えを見つけたように「あぁ」と呟いた。


「遠巻きに見ているだけで贅沢だと、前に一悟が言っていたな」


 ……一悟くんが?


 彼がわたしの話をしていたというだけで、ドキリと胸が鳴る。


 ずっと見ていてくれたんだとしたら、それは嬉しいなぁ……。


「それに羽入さんは、いつも笑顔で朗らかだ。人気になるのは頷けると思う」


 うん、と微笑む有明くん。


 だけど数秒後、ハッと思い出したように、


「あ。……今のはなしだ。一悟が怒ってしまう……」

「今のでも怒っちゃうかな?」

「怒る。案外嫉妬深いぞ、一悟は……」

「そっかぁ……ふふ」


 もし有明くんの言っていることが本当なら、そのおかげかもしれない。


 一悟くんに見つけてもらって、好きになってもらえたのは。


 あぁ、早く会いたいなぁ~……。


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