真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛
ついに放課後だ。さて、周くんの返事を聞くとしよう。
さっきの通りわたしはもらえることを決定事項としているため、若干テンションが高めだった。
木葉ちゃんがバイトの関係で先に帰って行く。わたしは掃除の邪魔にならないよう廊下に出て周くんを待つ。
どうやら周くんは教室の掃除当番だったらしい。わたしのことをチラチラと見て、焦ったようにほうきを掃いている。
わたしはドアの近くに寄って「急がなくてもいいよ~」と周くんに声をかけた。
だけど、
「は、はい!」
という元気な返事をする周くんは、明らかに掃除のスピードが上がっていた。
あれ、余計に焦らせちゃったかな。申し訳ない。
これ以上刺激してもまた焦るだけだと思って、大人しく廊下で期待を膨らませることにする。
壁に寄りかかって待っていると、二人分くらい空けた隣に人影を感じた。
何気なく目線を動かして確認する。それは有明くんだった。
そっか、一緒に帰るよね。
彼にも事情を説明しておかないと。
「あの~、有明くん」
涼しげな顔のまま、有明くんはわたしを真っ直ぐと見た。
「ん、キミは……?」
「わたし、周くんと同じクラスの羽入める。わたしこの後周くんと話があって、ちょっと待ってもらってもいいかな? すぐ終わるとは思うんだけど」
「ああ、そうなのか。わかった、わざわざありがとう羽入さん」
有明くんが優しく微笑む。
わ~、木葉ちゃんの言った通り、すごい美形だ。こんなに近くで見ても毛穴一つないなんて。