真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛
「……あの」
一悟くんがわたしの腕を掴んで、剥がす。
あ~……ダメだったみたい。
断られないと思っていたわけじゃないけど、拒否されるとショックだ。
と落ち込んでいたら、
「ちょっと、待ってて。すぐに着替えてくるから……」
なんて言葉が返ってきて、顔を上げる。
「そのままでも大丈夫だよ?」
「お、俺が大丈夫じゃないの!」
「え~もったいない……」
気の抜けた一悟くんも可愛いのに……。
どうしても譲れないことらしく、その後何を言っても『着替える』の一点張り。
だからわたしは、一悟くんの家に上がらせてもらって着替えを待つことになった。
「お邪魔しま~す」
「……つ、突き当たりのドアが、リビングだから。そこで待ってて」
「は~い」
そう告げて、一悟くんはトントンと階段を上っていく。
二階に一悟くんの部屋があるんだ。
黙って付いていったら、怒るかなぁ。
魔が差しそうになったけど、怒られたくはないので素直にリビングへ向かうことにする。
「わ~……」
ドアを開けると、生活感のあるリビングが広がっていた。
ここが、毎日一悟くんが生活してるところなんだねぇ……。
ひとまず近くにあったソファに座ってみる。
全然落ち着かなくて、キョロキョロと辺りを見回した。
「あ」
そんなときに目に留まったのは、ペットのケージ。
有明くん、無事に捕まえられたのかなぁ……?