真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛


 そっと一悟くんの頭に顔を寄せて、モフモフの髪の毛の感触を楽しむ。


 すると、一悟くんがちらっと上目遣いでわたしを見て。


 すねたような表情で、尖らせた唇を開く。


「俺、ペットじゃなくて彼氏なんだよ……?」


 その唇が、不意に近付いてくる。


 次に起こる出来事を予想して、わたしはゆっくりまぶたを閉じた。


 ……なのに、いつまで経っても何も起こらない。


 不思議に思ってまぶたを開くと、真っ赤になった一悟くんがプルプルと震えていた。


 決心しているように眉をつり上げていたけど、わたしと目が合った途端バッと顔を背けてしまう。


 それによって、モフモフな感触が奪われてしまった。


 手のひらを開いたり閉じたりしながら、わたしは残念な気持ちを打ち明ける。


「キスされるのかと思っちゃった」

「………………いや、その、しようかと、思ったんですけど」

「してくれないの?」

「~~っ!」


 煙が出てきそうなくらい赤みの増した一悟くん。


 つんと腕をつついてみたら、過剰なほどビクッと体を揺らす。


「ね、一悟くん……?」

「し、したいんだけど、したいんだけど……っ!」

「けど、なぁに?」


 楽しくなってきて、一悟くんにもたれかかった。


 そうしたら距離を取られて、その分をまた縮める。


 何度か続けていたら……いつの間にか一悟くんをソファの端に追い詰めてしまっていた。


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