真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛
「あ、一悟くんおはよ~」
「!!」
ドキーーッと胸が音を立てる。
教室でいつも通り朗らかに笑う羽入さんに、今日は可愛いと思うより罪悪感が勝つ。
お、俺は何も知らないこの子に、夢の中であんなことを……。
「おはよう……ごめんなさい……」
一人で抱えきれない苦しみに、謝罪が口から溢れ出た。
もちろん、羽入さんは理解できずに首を傾げている。
「何かわたしに謝るようなことしたの?」
「…………うん」
「え~なにかなぁ~?」
ずいずいと俺に近寄って、からかうような笑みを浮かべる羽入さん。
たぶん、正直に言ったら笑って許してくれるだろうけど。
それで終わってしまうのは、少し悔しい。
「……ちょっと、こっち」
羽入さんの手を軽く引いて教室を出る。
周りに人がいたら言いにくい話は、いつもの廊下が最適だ。
「どうしたの?」
着いたころには、羽入さんは俺の手を両手で包み込んでいた。
その上、上目遣いで見つめられたら……。
無意識に目線が彼女の潤った唇に吸い寄せられていく。
ああ、また、すぐにそんなことを考えてしまう。
でも……俺達はちゃんと、両想いで、恋人だから。