真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛
腕の中でもぞもぞと動いて、羽入さんが俺を振り向く。
「どうするの?」
「へっ」
「好きすぎるから……どうするのかなぁ?」
余裕たっぷりな笑みを向けられた。
すっかり羽入さんの手のひらの上だ。
もうこの上からは降りられないし、降りたくない。
俺はそっと彼女の顎に手を添えて、顔を近付けた。
「ん……」
冷静に考えて信じられない。
俺が羽入さんとキスしてるなんて。
雲の上の存在だったはずなのに、こんなに近くにいて触れるなんて。
この先、それ以上を期待してもいいなんて。
ああ、俺って幸せ者すぎる――。
「幸せすぎて、怖い…………」
ため息と一緒に出た言葉に、机を挟んだ向かい側に座る正が苦笑を浮かべた。
「それはよかったな」
「え!? 俺、不安な気持ちを吐露しなかった!?」
なんにもよくないんだけど!?
愕然とする俺をスルーして、正はお弁当を食べ続ける。
む、無視……!?
普段絶対に目を見て話を聞いてくれる正にそんな態度を取られ、二度目の衝撃が俺を襲う。
ショックで頭が真っ白になっていると、正は口を開いてくれた。