真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛
一体いつからだろう。不思議に思っていたとき、
「でも、猫好きと野良猫、なんだよねぇ……」
羽入さんが小さくこぼした。
その声色が嬉しそうではなかったのでよく見たら、羽入さんの笑顔は微笑みではなく苦笑いだった。
猫好きと、野良猫? どういう意味だろう?
「有明くん、何か木葉ちゃんに用事だったのかなぁ?」
羽入さんが小首を傾げて二人の仲介に入る。
「あぁ、和泉さんと二人でお昼を共にしてみようかと……。そしたら必然的に一悟と羽入さんも二人になるだろう?」
「ふ、二人!? バカじゃないの!?」
「木葉ちゃんはちょっと落ち着いてて~? あのね有明くん、確かに前よりは有明くんに慣れたと思うけど、まだ早いと思うの」
「やはりそうか……」
しゅんと肩を落とす正。
俺は話についていけない。
正が俺達に気を遣って二人にしてくれようとしているのだけはわかるけど。
慣れるとか早いとか、その辺りの理解が難しい。
「あの、四人で食べるのはダメなの?」
だから、何も理解できてないままそんなことを言ってみた。
一度断られてしまったことがあったから、それからなんとなく誘いづらかった。
でも、今だったら自然な流れだ。
「木葉ちゃん、どう?」
羽入さんが和泉さんに目を移す。
最終的な判断は、すべて彼女の一存になるらしい。