真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛


 家に帰ってノートを開いてみるけど、全く頭に入ってこない。


 どうしようかなぁ……と顔をしかめていると、スマホが着信をしらせた。


 あ、やった~、一悟くんだ。


「もしも――」

『あああっ!? 繋がっ、ま、間違えました!』

「……え?」


 切れちゃった……。


 通話の終了した画面を呆然と見つめる。


 すると、それからすぐにもう一度かかってきた。


『っ違うんです! ま、間違えたっていうのは、羽入さんと話したくないって意味じゃなくてっ! 羽入さんとのラインを見返そうとしたら、手の位置が悪くて、それで……っ!』

「う、うん?」


 怒涛(どとう)の言い訳に頭が追い付かない。


『えっと、だからつまり』

「つまり?」

『つまり……羽入さんのことを、考えてました』

「!」


 嬉しい言葉に表情が綻んでいく。


「うれし……」


 抑えきれずにポツリと呟くと、通話の向こうで一悟くんが息を呑んだのがわかった。


 どんな顔なんだろう……会いたい。


 電話って危険だなぁ。声だけじゃ満足できなくて、温もりに触れたいって思っちゃうから。


「ね。一悟くん、夏休み行きたいところある?」

『えと、……水族館、とか』

「わ、いいね~! わたしはねぇ、プールとか海とか~」

『ぷ、プール!? 海!?』

「ドッグカフェとか、一悟くんの家とか~」

『俺の家!?』

「ふふっ、なんでそんなに驚くの~?」


 だって! と焦った様子で一悟くんが声を荒げる。


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