真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛


 一旦諦めて、わたしの部屋に通す。


「……羽入さんって、お嬢様?」

「そんなことないけど、なんで?」

「だって俺の部屋の倍くらい広い……」


 呆然と立ち尽くす一悟くんに、わたしはそうかなぁと首をひねった。


 単に物が少ないだけなんじゃないのかな?


 机と、タンスと、ベッドと、本棚と、テレビと……必要最低限の物だけだよね?


 一悟くんの部屋を知らないから、わたしは比較できないけど。


「じゃあ今度、一悟くんの部屋がどんなのか見せてね?」

「……、……掃除しときます」


 あ、やった。約束してくれた~。


「そ、それより、早く勉強するよっ」

「ふふ、はぁ~い」


 一つの机に向かい合って座る。


 勉強道具を準備する一悟くんを、まっすぐと見つめた。


 こうやってじっくり顔を見るなんて、授業中じゃ絶対できない。


 可愛い、好き。


 ず~っとこうしていられたらいいのになぁ。


「み、見すぎ」

「うん、だって見てるからねぇ」


 すると一悟くんは赤い顔を隠すように下を向いてしまった。


 だけどわたしは見つめるのをやめない。


 ……また、熱の籠った瞳で一悟くんに見られたいな。


 大きな体に包まれて、大きな手で触れられて。


 何回でも、愛の言葉を伝えられたいな。


 それには二人きりじゃないといけない約束だから、こうして誘ってみたわけだけど。


 わたし今、すっごく一悟くん不足なの、わかるかな。


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