恋の始まりはいつだって唐突に


「それは危ないだろ。ホテルは調べた?」

「考えたんですけど、金曜日だし、ちょっとお財布的に痛いなぁと思って」


念のため近隣のホテルを調べてみたものの、やはり金額は想像通りでこれは無理だと悟った。


「俺が出すよ。元々誘ったのこっちなんだから」

「あ、強請ったわけじゃないんです。それに久しぶりで楽しかったですし、それはそれでよかったんです。始発まで数時間なので、少しくらいなら大丈夫ですよ」


いまだ納得していない彼の表情を見るとなんとなく居心地が悪いが、こればかりはしょうがない。

ご馳走してもらった上にホテル代を払ってもらうなんて申し訳なさで寝られる気がしない。




ひとまず地上に出てあてもなく歩くと、目当てのネットカフェはすぐに見つかった。よし、朝までコースもある。こうなったら今日は朝まで漫画漬けだ。


「掛井さん、ここで大丈夫です。ありがとうございました」

「……いや、本当に大丈夫か?」


責任感が強い彼は、なかなか心配性だ。

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