恋の始まりはいつだって唐突に
そして今日。
「……38度2分」
自分のタイミングの悪さを呪いたい。
言われてみれば小さな不調を感じていたものの、すぐに良くなるだろうと勘繰ったのが間違いだったみたいだ。
相変わらずの頭痛に加え、関節の痛み。寒気。そしてこの熱。
「完全に風邪だ……」
ベッドと小さなソファとテーブルが並んだ8帖の部屋に、ポツリと小さく零れた。
ひとまず連絡しないと。11時には掛井さんが来てしまう。
予定を聞かれた3日前の夜、この部屋でのんびり過ごしているとそばに置いていたスマホが震えた。