恋の始まりはいつだって唐突に
ひとつため息をついて、スマホを枕の横に置く。喉がひりひりと痛んで、思わず顔をしかめる。
今日と明日の休みで復活するといいけれど。
寒気が治まらない体を温めるように布団を口元まで引き上げ、再び目を閉じた。
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振動を感じ、目が覚めた。
壁に掛かっている時計に目をやると、先ほどから15分しか経っていない。そこで未だ震え続ける振動にやっと意識がはっきりした。
慌ててスマホを手に取ると画面は掛井さんからの着信を知らせていた。
「……はい」
「おはよう」
おはようございます、と掠れた声で返す。
声を発する度に痛む喉に、昨日よりを体調が悪化していることを実感する。
「大丈夫か?」
「ほんと、すみません」
「熱は?」
「38度2分でした」
高いな、と独り言のように呟く声が聞こえる。
掛井さんの声って電話で聞くといつもより低く感じるな、なんてどうでもいいことを考えながら寝返りをうつ。