恋の始まりはいつだって唐突に
ひとまず掛井さんには謝れたし、今日はもうこのままベッドの上で過ごそう。
そう思い、もう一度目を閉じた。
目が覚めると、12時を過ぎていた。
朝から何も食べてないな、と思いながらも何かする気にはなれない。
未だ体調不良は治まらず、徐々に不安になってきた。
……病院とか行ったほうがいいのかな。
家に常備してある薬は頭痛がする時に飲む鎮痛剤くらいで、風邪薬は置いていない。
長引くようならきちんと薬を飲んで治したいけど、ここから一番近い病院は歩いて15分ほど。とてもこの体調では歩く気にはなれない。
ひとまず水分を摂ろうと思い、ベッドを抜け出す。体が重く、頭がぼんやりとする。
コップに水を注ぎ喉を潤すも、喉の痛みが辛く顔をしかめる。
とことんタイミングが悪いのかほとんど空の状態の冷蔵庫にショックを受け、もう食べることは諦めベッドに戻った。
再びベッドに潜り込もうとした時、置いていたスマホが震えた。
掛井さんだ。
なんだろう、と思いながら通話ボタンをスライドした。
「もしもし」
「悪い、寝てたか?」
「いえ、ちょうど目が覚めたところでした。どうされましたか?」
「飲み物とか薬とか色々買ってきたんだけど、受け取れる?」
その言葉に慌ててベッドをおりた。