恋の始まりはいつだって唐突に
頭の中で色々と考えていると、体温計の音が鳴った。
「38度8分か」
今朝聞いた体温より上がっている。この熱じゃ相当辛いだろう。
布団を口元まで引き上げている様子を見ると、寒いのだろう。だとしたら、まだ熱が下がりそうにない。
「片岡、食欲は?」
「……あんまりないです」
「風邪薬あるから、少しでも食べようか」
小さく頷いた片岡に、買ってきたものを見せる。
すると少し悩んだ後、ゼリーにします、と小さな声で答えた。