貴方になりたい
ああ、この寝顔をいつでも見れるように傍に置いておきたい。


でも、私だって馬鹿じゃない。


聖光にそれをねだったら会えなくなる気がして、怖くて仕方がない。


気が付いたら、スマホを握り締めカメラモードに切り替えて、聖光を写している私が居た。


バレたら嫌われる。
でも、貴方の声すら聞けない日々は辛すぎるの……


そう自分に言い聞かせながら、シャッターを切ると狭い室内に乾いたシャッター音が響いた。


聖光が起きないか心配だったが、ピクリとも動く気配は無くスマホをバックの中に直す。


ベッドに横になると、聖光の美し過ぎる顔を見ながら眠りに着いた。


次に起きた時は、朝の五時。
聖光のスマホがけたたましくアラームを響かせ目を覚ます。


「あ、もうこんな時間か……」


寝ぼけた表情でスマホを手に取り、時間を確認する聖光の仕草ひとつひとつが貴重で大切に思えらる。


「うん。五時だね」
「俺、仕事が有るから準備するわ!」


洗面所に行った聖光の方から朝の準備をする生活音が聞こえてきた。


直ぐに、準備は終わりスーツ姿の聖光に見とれてしまう。


しかし、それを堪能する時間も無く車に乗ってアパートの前まで移動すると、別れの時間がやってきた。
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