貴方になりたい

流石に無許可で写真を撮っただなんて、言える訳が無い。
ただ、自慢したいだけ。
そんな私に返って来た言葉は信じられないものだった。


〈私、この人知ってる〉
〈えっ、嘘！？〉


私は、聖光がどこの誰かも知らない。知っているのは聖光という名前と誰もが使っているアプリの連絡先だけ。


〈この人は辞めといた方が良い！〉



何となく分かっては居たけど、友人の言葉にショックを受けてしまう。


〈どういう事？〉
〈この人、遊びまくっているよ……〉


遊びまくっている＿＿
正直、その言葉はショックだが遊びまくっているからといって嫌いになったり出来ない現状を突きつけられただけだ。


〈私は、聖光がどんな人でも好きなの……〉
〈じゃあ、本当の事言うけどこの人結婚してる。
しかも、聖光って名前じゃない！！〉


だいたいの事は受け入れられるかと思っていた。


でも、彼の名前は偽名で奥さんまでもが存在しする。

不思議と奥さんに申し訳無い気持ちは微塵も無かった。ただただ、顔も知らない奥さんが羨ましくて羨ましくて仕方無かったのだ。