貴方になりたい
「あの……」
「ん?」
「私と別れないで下さい……」
「本当にそう思ってくれるの?」


私にとって、聖光に会えなくなる事がなによりも恐ろしい。


「はい……」


言葉になんて出来ないけど、永遠に一緒に居てほしい。例え、私が2番目になろうがそれを強く望んでしまう。

私の中に聖光に会えなくなるという選択肢は1ミリも無かった。


「明日香」
「はい」
「今から会える?」


ずっと聖光に会いたかった私は、お預けされていたエサをやっとの事で手に入れた気分だ。


「勿論です!」
「じゃあ、今晩は俺の事癒してよ」
「……はい。私に出来る事なら!!」


嬉しい。

聖光は奥さんと別れる気なんて無いと言っていたが、私に癒しを求めている。

と、言う事は家庭に不満が有るのだろう。


もし。もし、私が聖光の奥さんになったら大切に大切にするのに。
不満なんて無いように頑張るのに。


「じゃあ、夜」
「は、い」
「明日香の家の近くに着いたら連絡するから、いい子で待っていて」
「はい」


返事を返すと電話は切れた。

私の気持ちは薔薇色。

確かに、聖光が妻子持ちだったのはショックだけど、そんな事くらいで諦められるような恋じゃ無い。
< 25 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop