貴方になりたい
「うん……。
ボロボロだったから、メイク直ししちゃった……」
「こっちにおいで」


聖光は会ったばかりの男だと理解していても、近付きたい欲を抑える事が出来ずに横に腰掛ける。


「やべえ、めちゃくちゃ可愛い」
「あ、ありがとう」


可愛いと言われた事が嬉しくて、顔は赤らむし、心が飛び跳ねる。


「雨に濡れていても可愛いけど、メイクしたら綺麗だな」


そんな事を言いながら、私の手を握って来る聖光。指先から心音が伝わりそうな程ドキドキしてしまっている私が居る。


たまに聖光が私の手をギュッと握ってくるから、握り返す。そんな、行為を繰り返していた。


「やばい。明日香マジで可愛い」


そんな事を沢山言葉にしてくれる聖光。普段、ここまで褒められ続ける事は無く嬉しくて堪らない。


何より、聖光の甘い言葉が私の脳を狂わせた。


気が付いたらキスを交わしている、私達。


「マジで、キスするだけで幸せなんだけど……」
「わ、私も……」


苦しい程に唇を重ね、息が出来るタイミングで言葉を交わす。
それだけの事が、今までのどんな事より幸せに思えた。


「俺達相性良いよな?」
「う、うん……」
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