貴方になりたい
聖光のマンションに帰ると、リビングで映画を見ながらお酒を飲むことにした。
部屋を暗くして、間接照明を付けるとお洒落な部屋が更に素敵に見える。



「明日香」
「は、はい!」
「部屋暗くしたら、俺の顔でもまともに見えるだろ?」
「な、何を言うんですか!?」


部屋を暗くしたら8割増綺麗に見えるなんて話を聞いた事が有るが、聖光の顔にそんな小細工は必要無い。


「え?」
「せ、聖光は誰よりもかっこいいです!」


真剣な瞳でそう言った私を見て、クスクスと笑う聖光。


「まじ!?もう28なんだけど、太陽の下で見てもかっこよかったかな?」


聖光は28歳だったのか。
わたしより、ふたつ年上という事実が知れて嬉しくなってしまう。


「今まで見た誰よりもかっこいいです!!」
「ありがとう。そんなに、必死な顔で話されるとしたくなる」


そう言って、私の唇を甘噛みする聖光。
さっき、もっと凄い事をしたはずなのに照れて顔が熱くなる。


「でも、その前にお酒飲まなきゃね……。
酔っ払った明日香が見たい__」


そう言われて、一度離れるとチューハイの缶を開けた。
私にとって始めてのお酒。
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