観念して、俺のものになって
カフェモカ
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「……ふわぁ」
タイピング音と営業をかける電話の声が響く、朝のオフィスにて。
どこにでもある灰色の事務用片袖机に頬杖をつき、欠伸を溢しながらPCで作成中の注文請書をぼんやりと見つめる。
結局、昨夜はほとんど眠れなかった。
紬さんが言っていた、嫌がらせってどんなことをされるんだろう。
気になって眠る前に、うっかりネットで調べてしまったのが全ての間違いだった。
つきまといから始まって盗撮や盗聴、匿名での手紙や荷物の送りつけ、ありもしないでっち上げの中傷、果ては殺害……
そんなストーカー被害の実例を目にして、ますます不安が募るばかり。
紬さんと一緒に歩いていた時に見た、あの女性のじっとりとした視線を思い出しぶるっと震えて、その記憶を追い出そうと頭を振った。
……いけない、今は仕事に集中しなくちゃ。
私は作成していた注文請書に会社印をつくため、作成中のデータを印刷するボタンをクリックし机から立ち上がる。
FAXも付いている複合機のそばへ行くと、そこには市東さんが立っていた。
市東さんは私が印刷した請書をぺらっとめくって、そこに視線を落とす。内容に目を通した彼は眉を寄せたまま私にそれを渡してきた。