観念して、俺のものになって


そう思ったら、死ぬかと思った恐怖や紬さんがホナミさんと楽しそうに話していた時に感じたやるせない気持ちが一気に爆発した。

その思いは私の口から、彼への恨み言として次々に溢れ出る。


「下ろして!誰のせいでこんなことになったと思ってるのよ!!」


紬さんは私を抱き上げたまま、目を丸くした。

これ以上は言っちゃ駄目、と頭の中でストップを掛けても止まらない。

いつもだったら理性がブレーキをかけるであろう言葉が、飛び出していく。


「……何であなたのために私がこんな目に合わないといけないの?

私のことなんて何も知らないくせに!!私より、ずっと可愛くて仲がいい人がいるくせに!!なんで私と結婚したのよ!!」


紬さんは一瞬驚いていたけど、叫んでいる私を穏やかに見下ろし、そのまま歩き始めた。


「うん、怖い思いをさせたのは本当に反省してるよ……ごめんね。でも、今は暴れたら危ないから落ちないようにしっかり掴まってて欲しい」

「お、下ろしてってば!!
なんでいつも勝手なのに、こんな時だけは優しくするのよ。貴方なんてきらい!!」


言いたいことを全部叫んでぶつけた直後、
私は1人自己嫌悪に陥った。


いくら怖かったとは言え、こんなにヒステリックに叫んでしまった……みっともない。きっと紬さん、引いたよね。

助けてくれてありがとう、ぐらい言うべきなのにつくづく可愛くない女だなぁ。


紬さんは私をまっすぐ見つめて、唇を持ち上げる。




「俺はまひるちゃんのこと好きだよ。
5年前から、ずっとね」

「えっ!?」

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