観念して、俺のものになって
カプチーノ
結局、紬さんの家に行くことになった私。
そうは言っても、着替えや化粧品などの準備が必要なのが女性というもので。
私たちは一度私の家を経由し、必要なものを用意してから紬さんの家へと向かった。
手を引かれて歩き、たどり着いた紬さんの家は建ったばかりだと言う高層マンションだ。
わぁー、すごい!
私のアパートの何倍くらいの家賃かな。
きっと桁違いだろう。
私の給料じゃ絶対住めさなそうな、まるで大企業の本社ビルみたいな外観の建物を無意識に凝視する。
今は都内で一人暮らしだけど、実は私地方出身なんだよね。
小さい頃、家族で遊びに来た時に見慣れない高いビルが珍しくて目をキラキラさせながら見つめてたのを思い出したよ。
『ビルをじろじろ見てたら田舎者に見えるから程々にしなさい』って、お母さんに言われたことあったっけ。
まぁ、それはどうでもいい。
私たちがピカピカの真っ白な大理石で出来たエントランスに進むと、紬さんは「ちょっと待ってて」と言って鍵らしきものをポケットから取り出した。
彼が立ち止まった場所は自動ドアの前にある数字のついた、インターホンのような機械の前。
紬さんはそこに鍵をかざし、いくつかの数字を入力する。
きっとこのマンションにはあの鍵と、パスワードがないと入れないような仕組みになっているのだろう。
うん、当然セキュリティはバッチリみたい。