観念して、俺のものになって
またも取り残された私は、唐突に始まった紬さんの撮影をぽかんとしたまま眺めた。
ただ一つだけ言えることは、私も聖さんも執着心の強い男性さんに惚れられたのが運の尽きで、最初から逃げられなかったんだなって。
紬さんを撮り終えたカメラマンさんは、次に私へとカメラを向ける。
私は紬さんに先ほどのことを詳しく聞きたくてたまらなかったけど、カメラマンさんの仕事の邪魔をするわけにもいかない。
それに気づいているのかいないのか、セイさんはカウチソファに座ったままふっくらとした唇を持ち上げ、満足そうに瞳を細めた。
私はカメラマンさんに言われるがままドレッサーに座ったり、部屋に備え付けられた等身大の大きな三面鏡に姿を映してみたりしながら写真を撮られる。
何枚も写真を撮った後、カメラを胸元へと降ろして彼は私たちを振り返った。
「じゃあ、つぎはお2人でお願いします」
紬さんがそれに鷹揚に頷いて立ち上がり、ゆっくりと私に近づいてくる。
私は彼に向かって唇を尖らせて見せた。紬さんは私の表情を見て両眉を上げる。
「どうしたの、そんな浮かない顔して」
「紬さんは言葉が少なすぎます!勝手に婚姻届を出した後にそれを言い出したこともそうですし……!」
文句を垂れながらカメラマンさんの方をちらっと見ると、彼は胸元に下ろしたカメラをいじっていた。どうやら先ほどの写真を確認しているようだ。