観念して、俺のものになって


この女の目つき、それにこの感覚……やっぱり間違いない。

この女は僕に一定以上の執着を抱いている。いや、一定以上なんてものじゃないかもしれない。
 

「あの、私の不注意ですみません。
もしよろしければお詫びをさせてください」


やはり思った通りの言葉を口にした女を見て、俺はいかにも困っていますという顔を作った。

「いえ、そんな訳には……」

そう口にしかけて、咄嗟に口籠る。

突然降ってきたアイディアに唇を吊り上げた。


この女の執着をうまく利用すれば、あの子を簡単に手に入れられるかもしれない。

殊更優しい顔と声を作り、女に向かって話しかける。


「俺の方こそすみません、急いでおりましたので……失礼ですが、いつもご来店いただいているお客様ですよね?
大変だ、お怪我はありませんか?」

女は俺の顔を食い入るように見て、たちまち顔を赤くした。

「い、いえ。怪我はないです、でも」

しどろもどろに言い淀む女の手を握りしめながら、俺は微笑む。


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