観念して、俺のものになって
「ご来店されるたびお声がけ下さってありがとうございます。あなたにぶつかってしまうとは失態でした。俺のことを許してくださいますか?」
女は緊張しすぎて声も出ない様子で、
俺の言葉にただ首を縦に振る。
「ありがとうございます!俺のことは良かったら、これから紬とお呼びください。
それから、もし何かお怪我などが後から分かりましたらこちらに連絡を」
そう言いながら店で配っている、店の電話番号と住所が書かれた名刺を女に握らせた。
「こんな俺を許してくださるなんて……ぶつかったのがあなたみたいな優しい方で本当に良かった」
俺は女の手を優しく握り締めながら唇を持ち上げ、優しく微笑みかけた。
いや、心の中ではほくそ笑んだ。
これは交換条件だ。
ストーカーしてる事は寛大な心で見逃してあげるから、その代わりに俺とまひるちゃんの恋路の手助けしてくれよ。
「それではまたのご来店を、
心よりお待ちしております」