観念して、俺のものになって
そして自撮りしているフリをして、画面を覗き込み背景を映り込ませると.....
「……っ!!」
私たちの後方を映したそこにいたのは、先ほど店を追い出されたさっきの女性客だった。
あの人帰ったと思ったら、後を付けられていたの!?
全然気が付かなかった!
だから、店長さんは急いでいたんだ。
女性のじっとりとした視線は私と店長に注がれていて、背筋がゾクッと震えた。
私は顔を青ざめて、不安げに店長を見つめる。
「……そういうこと。さっきも言ったでしょ、彼女、僕のストーカーだって」
彼は事もなげにそう言って、また目の前の信号に視線を移す。
無関係の私を厄介ごとに巻き込んだ、店長を恨みがましく睨みつけた。
「えっ、こんなに面倒くさいことに巻き込んで言うことがそれだけですか?」
別に『俺が君を守るよ』とは言わなくてもいいけれど、せめて安心できるような言葉が欲しいよ。
流石にちょっとは悪いと思っているのかもしれない。
居心地悪そうに視線をうろつかせていた。