観念して、俺のものになって
もうやっていられない。
内心投げやりな気分で尋ねると、店長はそのままふるふると首を横に振りながら長い指で額を押さえる。
「……何にも分かってないんだね。このままきみの家まで送って行ってごらん。きみの家、あっという間に特定されて嫌がらせが始まるよ?」
……ほんっといい性格してるわ、この人。
その言葉にげんなりしつつ、私は店長を見上げた。
「はあ、じゃあその辺は専門家の店長さんにお任せします。それで、私たちはこれから電車に乗ってどこに行くんです?」
すると、彼は驚いたように目を丸くした。
すぐにそれは私を憐むものに変わる。
「……まさか、訳もわからず僕に付いてきていたの?きみさ、今まで勉強はできるけど頭は弱いとか言われたことない?」
は、はい!?
いくら何でも、失礼にも程があるでしょう!!
店長をキッと睨んで、先ほどから溜まりに溜まった怒りを口から吐き出そうとしたその時__彼はニヤッと唇の端を上げ笑いながら言った。
「これから行くのは区役所に決まってるじゃないか……さっきあの女に言った通りに、ね」