観念して、俺のものになって


握りしめた手を私の目の前に持ち上げて、店長は私と目を合わせ誓うように口にした。


「……きみのことはちゃんと守るから。信じて」


ドキッ


いや、ドキッて何よ私!!


……勝手に私を巻き込んでさっきまでツンケンくせに、急にそんなこと言われたら心臓に悪いじゃない!

ちょっとだけ王子みたい、なんて思ったのは気のせいだと思いたい。


不本意にも、かあっと顔に熱が集まる。


彼の濡れた真っ黒な瞳を見つめ続けるのが難しくて、私はそっと目を逸らした。

       

たった今初めて知ったけど、『婚姻届』というものは区役所の『戸籍住民窓口』というところにあるみたい。

店長は迷いなくそこにある発券機を押して、番号札を取るといろんな書類をその場で書くことのできる記載台の前に立った。


どうするのかと様子を伺っていると、彼は台の中に入れられている用紙を取り出す。


「えっ」


驚いて目を丸くする私の前で、そこに備え付けられたボールペンを手に取り、さらさらと記入し始めた。

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