観念して、俺のものになって


つい時間を忘れて読み耽るほど面白い本と共に、美味しい珈琲を頂く。

それはこの世の中で、最高の贅沢だと思う。
大袈裟かもしれないけど。


そんな最高な休日を過ごすためだけにやってきたのに、不運なことに今私が座ってるのは怒ってるマダムの隣。


こんな間近で怒鳴られたら、読書に集中できないよ!

席を移動したくても、他は満席で座れる所がない。


はぁー……今日はツイてないなぁ。


どうしよう。手早くコーヒーとケーキを頂いて、大人しく帰る?


いや、なんで隣の客のせいで、私の休日の予定を変更しなくてはならないの?絶対嫌だ。


なら、女性の怒りが静まるのを待つしかないな。



「個人的な連絡先を教えろなんて言ってないじゃない!ただ、誠意を見せなさいって言っているだけよ!」


「恐れ入りますが、誠意とは何を指していらっしゃいますか?」

「私の家まで来て頭を下げるとかあるじゃないの!」


ちょっと、何言ってるのこの人は。

店長さんは何も悪いことしてない。なんなら、この店内にいる全員が証言できる。


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