観念して、俺のものになって


なぜ店長に腕を掴まれたのか、まったく意味がわからずに混乱して固まることしか出来ない。


私より頭2つ分ほど背の高い店長は、薄い唇の両端をあげ、マダムに向かってこう言い放った。


「……僕は彼女と今から入籍しにいきます」

「え、ええっ!?」


店長の思いもよらない発言に、
思わず大きな声を上げて驚いた。

いやいや、初耳なんですけど。

お付き合いもしてないのに入籍ってどういうこと?


もしかして.....私、巻き込まれてる?


「あの.....!」

『悪いけど、話を合わせてくれないかな。
この人、僕のストーカーで正直困ってるんだ』


「.........」



こちらを見つめる、切れ長で濡れ羽色の瞳はクールでとてもカッコいい。

きめ細やかな肌に、唇の右下にあるほくろがセクシーだと思う。

耳には小さなシルバーピアスを付けた、清潔感を保ちつつオシャレもしているという感じかな。


珈琲豆のうっとりするようないい香りを体に纏わせたイケメン店長は、目の前の客に聞こえないくらいの小さな声で私に囁いた。


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