観念して、俺のものになって
「ごめん、お待たせ」
顔を上げると、紬さんは煙草を吸い終え私の目の前まで戻ってきていた。
優しい笑顔が、甘い声が、先ほどまで繋がっていた掌の熱が胸を高鳴らせる。
一気に心臓がドクドクと早鐘を打ち、私は「おかえりなさい」も言えず瞳を揺らした。
それに対し、彼は少し困ったように微笑んだまま首を傾げる。
「……もしかして、疲れた?連れ回して悪かったね。今日はそろそろ帰ろうか」
「い、いえ!」
違うんです。本当はもっと一緒にいたい、
けれど、これ以上一緒にいるとなんだか勘違いしてしまいそうだった。
紬さんは、私のこと……好きじゃないかって。
その後、また手を繋いで帰途に着く。
昨日別れたコンビニの前まではあっという間だった。
「……あ、そうだ。ちょうど2人きりだし、この際だから伝えておきたいことがあるんだけど、いい?」
「はい、何ですか?改まって」
え、今になってお金返せとかじゃないよね?
私と真正面で向き合い、いつもとは違う真面目な表情をした彼は薄い唇から言葉を放つ。
「俺、ずっと前からまひるちゃんが好きなんだ」