円満な婚約破棄と一流タンクを目指す伯爵令嬢の物語
ステーシアに堂々と触れることさえできないレイナードが、ナディアと偽装恋愛などできるはずがないと思っていたら、不思議なことに人前で当たり前のようにイチャイチャするものだから驚いた。
レイナードとナディアはどんどん親密な関係になっていくような雰囲気を醸し出している。
その様子は、まさか本当にナディアに乗り換える気じゃないだろうな!?と不安になるレベルだった。
「どうしてナディアとは、あんなにベタベタイチャイチャできるんだ?ステーシアちゃんには全くできないのに」
「どうしてかって?それはナディアのことを何とも思っていないからだ。可愛い子だなとは思うよ?でもその『可愛い』は、花を見て綺麗だなと思うのと同じ感情だ」
なるほどな。
レイナードにとって女性とは「ステーシア」か「ステーシア以外」の2種類しか存在しないらしい。
だから俺が、自分の婚約者の話をしても、それは誰なのかと名前すら聞いてこないのも、ステーシア以外の女性は「その他大勢」であり全く興味がないのだろう。
学院内の生徒たちは、レイナードとナディアが急速に親密になってゆく様子に敏感に反応して「ナディア派」「ステーシア派」という派閥まで形成され、レイナード、ナディア、ステーシアの3人の動向を注視している。
ナディアの国の密偵が誰かはわからないが、この事態を眉を顰めながら報告していることだろう。
おまけに、ナディアの鑑定結果が「お姫様」だったというデマまで流れ始めた。
レイナードが「王子様」だったのは本当だ。
それを俺がおもしろおかしく吹聴したために、それをナディア派に利用されてしまったのだろう。
後からナディア本人に教えてもらったのだが、彼女の鑑定は「海賊」だったらしい。
だから彼女は、きっとこの計画は上手くいくと浮かれていたし、レイナードもそれを聞いて「よかったじゃないか」と笑ったのだが、その様子をステーシアに見られていたのは誤算だった。
ステーシアは怒りと哀しみがないまぜになった悲痛な表情をしていた。
レイナードとナディアはどんどん親密な関係になっていくような雰囲気を醸し出している。
その様子は、まさか本当にナディアに乗り換える気じゃないだろうな!?と不安になるレベルだった。
「どうしてナディアとは、あんなにベタベタイチャイチャできるんだ?ステーシアちゃんには全くできないのに」
「どうしてかって?それはナディアのことを何とも思っていないからだ。可愛い子だなとは思うよ?でもその『可愛い』は、花を見て綺麗だなと思うのと同じ感情だ」
なるほどな。
レイナードにとって女性とは「ステーシア」か「ステーシア以外」の2種類しか存在しないらしい。
だから俺が、自分の婚約者の話をしても、それは誰なのかと名前すら聞いてこないのも、ステーシア以外の女性は「その他大勢」であり全く興味がないのだろう。
学院内の生徒たちは、レイナードとナディアが急速に親密になってゆく様子に敏感に反応して「ナディア派」「ステーシア派」という派閥まで形成され、レイナード、ナディア、ステーシアの3人の動向を注視している。
ナディアの国の密偵が誰かはわからないが、この事態を眉を顰めながら報告していることだろう。
おまけに、ナディアの鑑定結果が「お姫様」だったというデマまで流れ始めた。
レイナードが「王子様」だったのは本当だ。
それを俺がおもしろおかしく吹聴したために、それをナディア派に利用されてしまったのだろう。
後からナディア本人に教えてもらったのだが、彼女の鑑定は「海賊」だったらしい。
だから彼女は、きっとこの計画は上手くいくと浮かれていたし、レイナードもそれを聞いて「よかったじゃないか」と笑ったのだが、その様子をステーシアに見られていたのは誤算だった。
ステーシアは怒りと哀しみがないまぜになった悲痛な表情をしていた。