円満な婚約破棄と一流タンクを目指す伯爵令嬢の物語
「なるほど、騎士団のリサーチ不足というわけね」

 事前に周りをぐるっと下見ぐらいはするのだろうけど、毎年同じ場所でキャンプをしているから当然今年も何事もなく終わるだろうという慢心があったのかもしれない。
 近くの岩山でグリフォンが子育てをしているという情報は入らなかったのだろうか。

「あなたは、毎年騎士団があの場所で学生を集めて野営訓練をしていることも、今年に限ってはグリフォンが近くの岩山にいることも知っていたんですよね?人が悪いわ、事前に忠告ぐらいしてくれたっていいのに」

 キースはくつくつと喉を鳴らして笑った。
「人が悪いも何も、俺らは悪者のゴロツキだけど?」

 たしかにそうだったわ!


「あなたたち、そういうことをお仕事にすれば今よりラクにお金が稼げると思いませんか?わたし、山賊の人気向上計画を考えていたところなんですの!」

「はあっ!?」
「お頭、やっぱりこの嬢ちゃん、頭おかしいんじゃ…」

 断じておかしくなんか、ないっ!


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