円満な婚約破棄と一流タンクを目指す伯爵令嬢の物語
わたしは盗賊のアジト生活を満喫していた。
夜明けとともに起きて馬とヤギの世話をする。
朝食はヤギ乳から作ったチーズに、ナッツと山菜炒め。真っ赤に熟れたヤマモモは生のまま口に放り込んで、種の周りの甘酸っぱい果肉をモグモグしながら食べたら、お行儀悪くプッ!と口から種を出す。
「わたし、前世は山賊だったのかも!」
思わずそう言ったら、キースに鼻で笑われた。
「山猿の間違いだろ」
うーん、その通りかもしれない。
でも、夫は鬼畜、長男はゴリラ、次男はチャラ男、長女は山猿なんて……お母様が気の毒すぎるわ。
彼らの暮らしは、略奪さえなければとてものどかな自給自足集落のようにも見える。
冬の寒さはさすがにこたえるでしょう?と問うと、冬の間は風の影響を受けにくい洞窟で寝泊まりしているし、獣の毛皮を羽織るからそうでもないという。
でも、大怪我をしたときや病気にかかったときは困るんじゃないかしら。
山を知り尽くし、腕っぷしも強い彼らをうまく味方にできれば心強いという下心が無いわけではないが、そんなことよりも命の恩人である彼らに人並みの生活をしてもらいたいと思うことも、彼らにとっては押しつけがましいだろうか。
夜明けとともに起きて馬とヤギの世話をする。
朝食はヤギ乳から作ったチーズに、ナッツと山菜炒め。真っ赤に熟れたヤマモモは生のまま口に放り込んで、種の周りの甘酸っぱい果肉をモグモグしながら食べたら、お行儀悪くプッ!と口から種を出す。
「わたし、前世は山賊だったのかも!」
思わずそう言ったら、キースに鼻で笑われた。
「山猿の間違いだろ」
うーん、その通りかもしれない。
でも、夫は鬼畜、長男はゴリラ、次男はチャラ男、長女は山猿なんて……お母様が気の毒すぎるわ。
彼らの暮らしは、略奪さえなければとてものどかな自給自足集落のようにも見える。
冬の寒さはさすがにこたえるでしょう?と問うと、冬の間は風の影響を受けにくい洞窟で寝泊まりしているし、獣の毛皮を羽織るからそうでもないという。
でも、大怪我をしたときや病気にかかったときは困るんじゃないかしら。
山を知り尽くし、腕っぷしも強い彼らをうまく味方にできれば心強いという下心が無いわけではないが、そんなことよりも命の恩人である彼らに人並みの生活をしてもらいたいと思うことも、彼らにとっては押しつけがましいだろうか。