円満な婚約破棄と一流タンクを目指す伯爵令嬢の物語
「もしもまた誰かに恋人のフリをしてほしいって頼まれても、もう二度と引き受けないで」
「わかってる。もう二度としないと約束する。たとえ国益のためであっても、もうこりごりだ。次はシアとカインに相談して別の方法を考える。何も言わなくてもシアはわかってくれると己惚れていた自分の浅慮が恥ずかしいよ」
「わたし…」
声が震える。
「レイとナディアが仲良くしているのを見て、怒ったり悲しんだり、みっともなく嫉妬したり、すごく嫌だったんだから!」
滲んでいく視界の中でレイナード様が立ち上がり、わたしの横に座った。
「そうか、ごめん。でもシアが嫉妬してくれていたなんて、ちょっと嬉しいな。それはつまり、俺のことが好きだってことだよね?」
「そうよ、わたしだってずっと前からレイが大好きだったわ」
涙と共に叫ぶように自分の気持ちを吐き出した直後、肩をグイッと引き寄せられて、気づけばレイナード様の腕の中にいた。
「もうこれから先は、シアに辛い思いはさせないと誓うよ。一生をかけてそれを証明してみせる。俺だってずっとずっとシアだけが大好きだったし、それはこれから先も変わらない」
耳元で甘いささやきが響く。
どういうわけかわたしは、レイナード様の前では泣き虫になってしまったようだ。
レイナード様は、わたしの涙が止まるまで、それはそれは優しく丁寧に背中と髪を撫で続けてくれたのだった。
「わかってる。もう二度としないと約束する。たとえ国益のためであっても、もうこりごりだ。次はシアとカインに相談して別の方法を考える。何も言わなくてもシアはわかってくれると己惚れていた自分の浅慮が恥ずかしいよ」
「わたし…」
声が震える。
「レイとナディアが仲良くしているのを見て、怒ったり悲しんだり、みっともなく嫉妬したり、すごく嫌だったんだから!」
滲んでいく視界の中でレイナード様が立ち上がり、わたしの横に座った。
「そうか、ごめん。でもシアが嫉妬してくれていたなんて、ちょっと嬉しいな。それはつまり、俺のことが好きだってことだよね?」
「そうよ、わたしだってずっと前からレイが大好きだったわ」
涙と共に叫ぶように自分の気持ちを吐き出した直後、肩をグイッと引き寄せられて、気づけばレイナード様の腕の中にいた。
「もうこれから先は、シアに辛い思いはさせないと誓うよ。一生をかけてそれを証明してみせる。俺だってずっとずっとシアだけが大好きだったし、それはこれから先も変わらない」
耳元で甘いささやきが響く。
どういうわけかわたしは、レイナード様の前では泣き虫になってしまったようだ。
レイナード様は、わたしの涙が止まるまで、それはそれは優しく丁寧に背中と髪を撫で続けてくれたのだった。