円満な婚約破棄と一流タンクを目指す伯爵令嬢の物語
ナディアは瞬く間に友人を増やし、学院での生活を謳歌していた。
レイナード様と同じクラスの彼女は、頭の回転がとても速く授業中もたくさん発言していると聞いている。
ナディアの転入から3か月が経過する頃には、もう4人での勉強会など不要に思えたし、レイナード様とのイチャコラを見せつけられてうんざりもしていた。
勉強会のあとのお茶の時間に出されるお菓子が楽しみだったけれど、もう辛抱ならない。
今日こそは、もうわたしはこの勉強会を今回限りで辞退するから、あとは3人でどうぞと言うつもりで、いつも放課後の勉強会に使っている教室へと向かった。
ドアを開けようと手に掛けたとき、中からナディアの楽しそうな笑い声が聞こえて思わず手を止めた。
「わたしの鑑定結果が『お姫様』?誰が言いふらしているのかしらね」
そう言いながら、彼女の声色はまんざらでもない様子だ。
その噂はわたしも小耳にはさんでいる。
このころにはすでに、レイナード様はナディアとの「真実の愛」に目覚めてしまったようだと学院中の噂になっており、頼みもしていないのに勝手に「ステーシア派」「ナディア派」という派閥まで形成されて、どっちの応援をするのか、レイナード様は最終的にどちらを選ぶのかと外野でやんやと盛り上がりを見せている。
そんな中で、入学当時のレイナード様の鑑定結果は「王子様」、そしてナディアは「お姫様」だったという噂があたかも本当のことのように飛び交い始めたのだ。
ではステーシアは?
当然、関心はわたしの鑑定結果が何だったのかに向けられて、単刀直入にわたしに尋ねてくる生徒もいたけれど、誰に聞かれても「内緒です」と答えているうちに、今度は
「あれは秘密って意味ではなくて『ナイショ』と鑑定されたってことなんじゃないのか?」
「ナイショってどんな職業だ?」
「…さあ?」
そんなことまで言われ始めて、もうどうにも引っ込みがつかない状況になっていた。
レイナード様と同じクラスの彼女は、頭の回転がとても速く授業中もたくさん発言していると聞いている。
ナディアの転入から3か月が経過する頃には、もう4人での勉強会など不要に思えたし、レイナード様とのイチャコラを見せつけられてうんざりもしていた。
勉強会のあとのお茶の時間に出されるお菓子が楽しみだったけれど、もう辛抱ならない。
今日こそは、もうわたしはこの勉強会を今回限りで辞退するから、あとは3人でどうぞと言うつもりで、いつも放課後の勉強会に使っている教室へと向かった。
ドアを開けようと手に掛けたとき、中からナディアの楽しそうな笑い声が聞こえて思わず手を止めた。
「わたしの鑑定結果が『お姫様』?誰が言いふらしているのかしらね」
そう言いながら、彼女の声色はまんざらでもない様子だ。
その噂はわたしも小耳にはさんでいる。
このころにはすでに、レイナード様はナディアとの「真実の愛」に目覚めてしまったようだと学院中の噂になっており、頼みもしていないのに勝手に「ステーシア派」「ナディア派」という派閥まで形成されて、どっちの応援をするのか、レイナード様は最終的にどちらを選ぶのかと外野でやんやと盛り上がりを見せている。
そんな中で、入学当時のレイナード様の鑑定結果は「王子様」、そしてナディアは「お姫様」だったという噂があたかも本当のことのように飛び交い始めたのだ。
ではステーシアは?
当然、関心はわたしの鑑定結果が何だったのかに向けられて、単刀直入にわたしに尋ねてくる生徒もいたけれど、誰に聞かれても「内緒です」と答えているうちに、今度は
「あれは秘密って意味ではなくて『ナイショ』と鑑定されたってことなんじゃないのか?」
「ナイショってどんな職業だ?」
「…さあ?」
そんなことまで言われ始めて、もうどうにも引っ込みがつかない状況になっていた。