円満な婚約破棄と一流タンクを目指す伯爵令嬢の物語
ルシードとのダンスは、予想外に楽しいひとときとなった。
わたしにされるがままに美少年がグルングルン回っている様子がおかしくて仕方なかったからだ。
マーガレットが用意してくれたこのフレアスカートのドレスは、とても軽くてしなやかで、クルクルと回れば回るほど、まるでスカートからシャランシャランと光の粒が零れ落ちるように見える不思議な光沢を備えた生地だった。
日頃からお世話になっているマーガレットへの感謝の気持ちを込めて、彼女の手掛けたドレスの評価が高まるように回れるだけ回ってやる!というのが、今日のダンスでの目標だ。
「ありがとうルシ、とても楽しいわ」
自分の置かれている状況をしばし忘れて楽しく踊った。
途中何度もレイナード様とナディアのペアが近寄って来た気がするけれど、知ったこっちゃない。
絶対にわたしたちのほうが目立っているはずだ。
1曲目が終わると、次はパートナーを変えて2曲目となるのが習わしだけれど、目が回ってフラフラになっているルシードをその場に放っておくわけにもいかず、結局ルシードの腰にそのまま手を回し肩を貸しながら椅子へと誘導した。
「お水を持ってきたらいい?」
「いや、それよりメガネを…」
残念、具合が悪そうにしている様子もまた美しいのに。
そう思いながら、奪ったメガネを返してあげた。
「ステーシアさん、僕ちょっともう、今夜はこれが限界です。先に帰ってもいいですか?」
「ええ、構わないわ。わたしは兄が迎えに来てくれることになっているから」
2曲目の音楽が流れ始めたのを聞きながら、ルシードを会場の外まで見送った。
わたしにされるがままに美少年がグルングルン回っている様子がおかしくて仕方なかったからだ。
マーガレットが用意してくれたこのフレアスカートのドレスは、とても軽くてしなやかで、クルクルと回れば回るほど、まるでスカートからシャランシャランと光の粒が零れ落ちるように見える不思議な光沢を備えた生地だった。
日頃からお世話になっているマーガレットへの感謝の気持ちを込めて、彼女の手掛けたドレスの評価が高まるように回れるだけ回ってやる!というのが、今日のダンスでの目標だ。
「ありがとうルシ、とても楽しいわ」
自分の置かれている状況をしばし忘れて楽しく踊った。
途中何度もレイナード様とナディアのペアが近寄って来た気がするけれど、知ったこっちゃない。
絶対にわたしたちのほうが目立っているはずだ。
1曲目が終わると、次はパートナーを変えて2曲目となるのが習わしだけれど、目が回ってフラフラになっているルシードをその場に放っておくわけにもいかず、結局ルシードの腰にそのまま手を回し肩を貸しながら椅子へと誘導した。
「お水を持ってきたらいい?」
「いや、それよりメガネを…」
残念、具合が悪そうにしている様子もまた美しいのに。
そう思いながら、奪ったメガネを返してあげた。
「ステーシアさん、僕ちょっともう、今夜はこれが限界です。先に帰ってもいいですか?」
「ええ、構わないわ。わたしは兄が迎えに来てくれることになっているから」
2曲目の音楽が流れ始めたのを聞きながら、ルシードを会場の外まで見送った。