婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
「崩落事故を起こし、この現場から魔導士団がいなくなったところで、魔宝石を奪うとか……、ですかね? 人が足りないということは、それだけ管理する目が届かなくなるということですから」

「もしかしたら、それが狙いかもしれないが……。だが、今のところ、魔宝石が盗まれたという話は聞いていない」

「あの。お兄さま。ずっと報告すべき案件かどうかで悩んでいたのですが……」

「なんだ。気になることがあるなら遠慮せずに言ってくれ。今は些細な情報でも欲しい。情報は多い方がいい。その中から取捨選択をするのは俺の役目だからな」

 ヘイデンのその言葉にほっとリューディアは胸を撫でおろす。兄はこういった気遣いをするのがとても上手な人間だ。

「はい。では、その。気になったことなんですが。あの、採掘場の外にあるクズ石置き場なのですが、あそこのクズ石の量の増え方がおかしいような気がしていまして」

「おかしい? どんな風に?」
 ヘイデンが身を乗り出してきた。

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