婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
「クズ石というのは選鉱の結果によってその量は変わりますが、それでも今までよりも()()()()()ように見えるのです。その、一日に排出されるクズ石の量が」

「クズ石の排出量は記録を取っていないな。だが、採掘量と採用された魔宝石の量からクズ石の量を算出することはできる」

「その資料を貸していただくことは可能ですか? できればわたくしの方でそのクズ石の量を確認したいと思っております。それに、あのクズ石。ただ捨てるのはもったいないと思っておりまして、何か利用できないかということも考えていまして……。といいますのも、こちらで働いている採掘師たちは、自分たちの将来に不安を抱えているようなのです」

「どういうことだ?」
 ヘイデンが眉根を寄せる。
 リューディアは一度エメレンスに視線を向けて、助けを求めるが、彼はそのまま続けろという意味を込めて、力強く頷いたため、リューディアも頷き返してから、口を再び開く。

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