婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
「ほう。それは心強い。クズ石の件は、ディア。お前に一任する。魔宝石再利用についても、お前からの資料を見たうえで判断しよう」

「お兄さま、ありがとうございます」

「いや、お前のその着眼点が無ければ、クズ石はクズ石のまま埋もれるところだった。だが、クズ石の量が減っているように見える、というのも気になるところだな。頼んだぞ、ディア」

「はい」

 リューディアは力強く返事をすると、嬉しそうに笑みを浮かべてエメレンスと顔を見合わせた。
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