婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
 それはリューディアが思っていた通りの結果。形が良くても魔力を取り込むことができない、もしくは取り込んでいたとしてもその取り込んだ魔力が少ないクズ石ばかりがここには残されていた。これからはクズ石置き場に持ち込まれる量の確認をする必要もありそうだ。つまり、どこでクズ石が盗まれているのだ。それは選鉱の作業場からこのクズ石置き場までの間に間引かれているのかもしれないし、このクズ石置き場から盗まれているのかもしれないし。

 リューディアはくるりと向きを変え、事務所に向かって歩き出す。クズ石置き場の管理方法も考えなければならないし、場合によっては監視魔法をつけるべきであると考えていた。
 彼女が事務所に戻ると、ヘイデンが慌ただしく部下たちに指示を出していた。

「お兄さま、何かあったのですか?」

「ああ、ディアか。王都で魔導具の爆発事故が起こった。どうやら、ここで採掘された魔宝石が使われていたようだという話が入ったんだ。それで、いつ頃採れた魔宝石かということを確認しようとしていたところなんだ」

「お兄さま、その爆発した魔導具というのは、既にこちらにあるのですか?」

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