婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
 はっきりと告げるリューディア。それを聞いたヘイデンも、そうかもしれない、と思っていた。だけど自信は無かった。だがリューディアからそれを聞いたら、そうかもしれないが確信に変わる。

「ディア。つまり君は、魔導具の製作にクズ石が使われていると、そう言いたいんだな」
 リューディアは力強く頷く。それは彼女も絶対にそうである、と確信しているからだ。

「このシャルコで採れる魔宝石の原石は、とても程度のいいものです。普通に使用すれば爆発など起こりません。魔導具が爆発するというのであれば、その魔導具そのものの設計が悪いときか、使用している魔宝石が悪いかのどちらかですが、今回の件、お兄さまの話を聞いている限りでは、どうやら原因は魔導具の動力となっている魔宝石にありそうだ、ということになっております。ですが、シャルコの魔宝石は、そうならないために選鉱しています。選鉱された魔宝石は、爆発を起こすような代物ではありません」
 そこは自身を持って断言できる。それだけこの選鉱に携わっている魔導士たちの能力と技術は高いのだ。ここの魔宝石で爆発事故が起こるのであれば、世の中、もっと爆発事故が起こっている、というくらいに。

「シオドリックを呼ぼう」

 ヘイデンは一番下の弟の名を口にした。

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