婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
 西側六区に着くと、既に採掘師たちはすでに到着していて、工具の確認をし、自分たちの身支度を整えている。
 昨日の帰る前にも点検したこの現場ではあるが、今日の作業でも問題の無いことをさらりと確認をする。法面に手を触れ魔力を這わせることで、危険個所を検知することができる。それが採掘を担当する魔導士たちの仕事の一つでもある。

「今日も大丈夫そうですね」
 エリックが言えば、リューディアも頷く。それから抱えていたファイルを広げ、点検の結果を記載した。

「今日も安全第一でお願いします」
 採掘師たちの背中に声をかけ、リューディアとエリックは事務所へと向かう。

「ところで今日。なんで第一研究部の方たちがこちらへ来るのかって。リディアさん、理由をご存知ですか?」
 エリックが不思議そうに尋ねてきた。だが、尋ねる彼の頬はいつもより火照っているようにも見える。

「ええと。どうやら魔導具の爆発事故が起こったようで、その魔導具に使用されていたのがこちらで採掘された魔宝石のようなのです」

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