婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
「わかりました」
 リューディアも慌てて机の中を確認するが、特に荒らされた様子もなく、盗まれたものも無さそうだった。
 朝からバタバタとしていたので、自席に座ったところで一息つけた心地になる。

「はい」
 それを見過ごしてなのか、エメレンスが飲み物を手渡してきた。

「ありがとうございます」
 それを一口飲んだところで、いつもの時間が戻ってきたような気がした。

「あ、そうだ。ディア。部隊長が、ディアも第一研究部の相手をするように、と言っていたけど、大丈夫かい?」

「あ、はい」
 その件については、昨日、帰宅してからヘイデンにも言われていたこと。だから、それを見据えて今日の業務スケジュールは頭の中で立てている、はず。
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