婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
 その後、リューディアが書類をまとめていると、第一研究部の魔導士たちが来たわよ、とイルメリから声をかけられた。
「応接室に案内してあるから。ディア、あなたも一緒に話を聞くんでしょ?」

「あ、はい。ありがとうございます」

「ヘイデンは先に行っているみたいだから。あ、あとこの資料も一緒に持っていってくれないかしら?」

「はい」

 リューディアはイルメリから預かった書類を大事そうに抱え込んで、応接室へと向かった。そこの扉を叩けば、中から入るようにとヘイデンの声が聞こえてきた。

「失礼いたします」

「ディア、久しぶりだね」

 リューディアが部屋に入ると同時に、シオドリックが手をあげて答えた。

「シオ兄さま。シオ兄さま、お一人ですか?」

「ああ。ここには今、オレ一人だ。他の者たちは、現場を確認している」
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